63.鳥取城
日本100名城基本情報
住所 | 〒680-0011 鳥取県鳥取市東町 |
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電話 | 0857-26-3595(仁風閣展示館) |
築城年 | 16世紀中頃築城 |
営業情報
開館時間 | 24時間(城跡見学自由) |
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入場料 | 無料 |
休館日 | なし(ただしスタンプ・御城印販売所は各施設による) |
1. 鳥取城の歴史と概要
鳥取城は16世紀中頃に因幡国の守護である山名氏が、久松山(標高263m)の自然地形を利用して築いた山城が始まりとされています。鳥取市街地の東方、県庁の背後にそびえる久松山の急峻な地形を要害として利用した名城で、防御性の高さや山頂からの優れた眺めから「日本(ひのもと)にかくれなき名山」と評され、織田信長は「堅固な名城」と讃えました。現在は国指定史跡「史跡鳥取城跡附太閤ヶ平」として保護されています。
2. 豊臣秀吉の兵糧攻めと吉川経家
鳥取城といえば、1581年(天正9年)の羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)による兵糧攻めが最も有名です。この「鳥取の飢え殺し」と呼ばれる攻城戦は、秀吉が12kmにもわたる包囲網を築き、周辺の米を買い上げて城を兵糧攻めにした戦国時代でも凄惨を極めた籠城戦でした。4ヵ月にも及ぶ攻囲の末、毛利方の城主吉川経家は将兵の助命を条件に自害して開城しました。経家は今も名将として市民に慕われており、正面入口には経家の像が建てられています。
3. 江戸時代の鳥取藩池田家の居城
関ヶ原の戦い後、池田氏が32万石の城主となり山麓の大改修を行いました。江戸時代には姫路城を築いた池田輝政の孫・光政が「国内12番目」の石高を誇る鳥取藩32万石の平山城として拡張整備しました。整備には現存する姫路城大天守の築城に携わった職人たちが起用されたことから、「姫路城の弟城」とも呼ばれています。徳川家康のひ孫である藩祖光仲から始まる鳥取池田家は幕府から厚遇され、城内の建物屋根に葵の紋瓦を葺くことを許可された唯一の外様大名でもありました。
4. 天球丸巻石垣の独特な構造
鳥取城の最大の見どころの一つが、天球丸の「巻石垣」です。これは1807年頃から問題となった石垣の崩落を防ぐ目的で幕末に設置された、他に類を見ない球面状の石垣です。横幅約12m・高さ約5.5mの規模を誇り、石垣に添えるように球状に設けられているのが最大の特徴です。全国でも他の城では角状の巻石垣が見られますが、鳥取城のような球状の巻石垣は全国でも唯一の存在として注目されています。
5. 復元整備が進む大手登城路
2006年から始まった鳥取城の復元整備事業により、城の正面玄関であった大手登城路の復元が進んでいます。2018年には約120年ぶりに擬宝珠橋(大手橋)が復元され、全長36m・幅6mに及ぶ長さは国史跡の城跡における復元橋としては日本最長となりました。2021年には中ノ御門表門が復元され、2025年には中ノ御門渡櫓門も完成し、江戸時代の大手門全体が復元されました。
6. 城郭の博物館としての価値
鳥取城は「城郭の博物館」と称されており、その歴史の長さから中世から近世に至る多様な城の姿を残し、日本城郭の歴史を物語っています。山頂部の山上ノ丸では戦国時代から江戸時代初期の姿をうかがえ、山麓の山下ノ丸では鳥取藩32万石の居城だった頃の面影を今に伝えています。山頂の天守は1692年に落雷で焼失した後は再建されず、代わりに二ノ丸の三階櫓が代用天守として使われました。
7. 100名城スタンプと多彩な御城印
鳥取城の100名城スタンプは、現在仁風閣が修理工事中のため、隣接する「鳥取城跡・仁風閣展示館」で押印できます。御城印は複数の場所で販売されており、因州和紙を使用した縦15cm・横11cmのサイズで、江戸時代の鳥取池田藩由来の「丸に揚羽蝶」と「角輪紋」の家紋が施されています。2021年からは鳥取城の戦い440周年を記念した「合戦印」も販売されています。
8. 久松公園と桜の名所
鳥取城跡を整備した久松公園は「日本さくら名所100選」にも選ばれた県内有数の桜の名所です。春にはソメイヨシノを中心に400本を超える桜が咲き誇り、秋には紅葉の名所として久松山を背景に美しい風景を楽しむことができます。お堀から見ると白鳥の浮かぶ水堀と何段にも重なる石垣が歴史的な景観を創り出し、毎年秋には「鳥取三十二万石お城まつり」も開催されて賑わいます。
9. 山上ノ丸への登城と絶景
鳥取市街地を一望できる二ノ丸までは久松公園から徒歩約10分、山上ノ丸までは約40分の登山となります。山上ノ丸からは日本海や鳥取砂丘などを眺めることができ、天守台跡からの360度の眺望は圧巻です。天守台は一辺約20mと鳥取城の櫓台の中でも最大規模を誇り、中央には兵糧の貯蔵庫として使われた穴蔵も残されています。
10. 太閤ヶ平と秀吉の本陣跡
鳥取城の東約1.5kmには、羽柴秀吉が鳥取城を兵糧攻めする際に本陣を築いた「太閤ヶ平」があります。総延長約700mの堀が形成した大防衛ラインの遺構が残っており、鳥取城跡とともに国史跡に指定されています。現在でも秀吉が陣を構えた本陣山を、鳥取城を守った吉川経家が見たであろう姿のまま望むことができ、歴史のロマンを感じることができる貴重な史跡となっています。
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御城印情報

②鳥取市歴史博物館(やまびこ館)
③鳥取市ふるさと物産館(まちパル鳥取)
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