70.岡山城
日本100名城基本情報
住所 | 岡山県岡山市北区丸の内2-3-1 |
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電話 | 086-225-2096 |
築城年 | 1597年 |
営業情報
開館時間 | 9:00~17:30(最終入場17:00) |
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入場料 | 大人400円、小・中学生100円 |
休館日 | 年末(12月29日~12月31日) |
1. 岡山城の歴史と築城の背景
岡山城は慶長2年(1597年)に豊臣五大老の一人・宇喜多秀家によって築城された名城です。もともとこの地には石山城があり、宇喜多直家が1570年に金光宗高を謀殺してこの地を支配しました。直家は1573年に石山城に入城し、城の改築と城下町の形成を開始。秀家は父の事業を継承し、豊臣秀吉の全面的協力のもと1590年から新城の築城と城下町の整備を開始し、8年の歳月をかけて1597年に完成させました。この城は織田信長の安土城天守を模して築かれたとされ、豊臣秀吉の大坂城、毛利輝元の広島城と並んで近世城郭の先駆けとなりました。
2. 烏城の愛称で親しまれる黒い天守
岡山城の最大の特徴は、黒い下見板張りの外観です。この特徴的な外観から別名「烏城(うじょう)」と呼ばれ、地元の人々に愛され続けています。天守は三層六階の堂々たる造りで、全国的にも珍しい不等辺五角形の天守台を持っています。関ヶ原合戦以前の古式を伝える貴重な天守建築で、戦前は国宝に指定されていました。築城当時は金の鯱が載せられており「金烏城(きんうじょう)」とも呼ばれていました。現在の天守は1996年の築城400年記念事業で金鯱が復活し、往時の威容を再現しています。
3. 戦災による焼失と戦後の復元
岡山城天守は国宝指定を受けていましたが、1945年(昭和20年)の岡山空襲により石山門とともに焼失してしまいました。戦災を免れた月見櫓と西之丸西手櫓は現在も残り、国の重要文化財に指定されています。現在の天守は1966年(昭和41年)に鉄筋コンクリート造で再建されたもので、外観は築城当時の姿を忠実に再現しています。不明門や廊下門も同時に復元され、岡山城の威容が蘇りました。城跡は「岡山城跡」として国の史跡に指定され、「烏城公園」として整備されています。
4. 令和の大改修とリニューアル
2021年7月から2022年11月まで「令和の大改修」が行われ、耐震補強とともに展示内容を全面的にリニューアルしました。2022年11月3日にリニューアルオープンし、岡山市出身の歴史学者・磯田道史氏が展示を監修。最新の技術を駆使したデジタル展示や体験型コンテンツが充実し、岡山の歴史をより分かりやすく発信しています。館内にはエレベーターや空調設備も完備され、快適に見学できる現代的な博物館として生まれ変わりました。1階にはカフェも併設され、城見学の合間にくつろぐことができます。
5. 歴代城主と城郭の発展
岡山城は宇喜多氏、小早川氏、池田氏という戦国・江戸時代の有力大名によって発展しました。宇喜多秀家が関ヶ原の戦いで敗れると、小早川秀秋が入城し、本丸中の段を拡幅し三之丸外側に「廿日堀」と呼ばれる外堀を築きました。秀秋の急死後は池田氏が代々城主を務め、元和元年(1615年)に入城した池田忠雄の代に城郭が完成しました。池田家は岡山藩31万5千石の藩主として明治維新まで続き、岡山の政治・経済・文化の中心地として城下町を発展させました。旭川の流れを変えて堀の役割を持たせるなど、水を活用した巧妙な縄張りも特徴です。
6. 岡山後楽園との密接な関係
岡山城の大きな魅力の一つは、日本三名園の一つ「岡山後楽園」との関係です。後楽園は池田綱政によって造営された大名庭園で、岡山城の北東に位置し、旭川を挟んで向かい合っています。両者は月見橋で結ばれ、相互に行き来することができます。後楽園からは岡山城天守を借景として楽しむことができ、逆に岡山城天守最上階からは後楽園の美しい庭園を一望できます。春夏秋に開催される「烏城灯源郷」では、両施設が連携してライトアップイベントを実施し、幻想的な夜景を演出しています。
7. 天守からの眺望と見どころ
岡山城天守最上階からの眺望は格別で、眼下に旭川、岡山後楽園、岡山市街地を360度見渡すことができます。晴れた日には遠く瀬戸内海まで望むことができ、岡山平野の広がりを実感できます。館内では宇喜多氏、小早川氏、池田氏の歴史資料や岡山城の変遷を紹介する展示があり、特に池田家歴代当主に関する貴重な資料が充実しています。体験コーナーでは甲冑試着や刀の重さ体験なども可能で、子どもから大人まで楽しめる工夫が凝らされています。現存する月見櫓も必見で、江戸時代の建築技術を間近で見ることができます。
8. 烏城灯源郷と季節のイベント
岡山城では春・夏・秋に「烏城灯源郷(うじょうとうげんきょう)」と呼ばれるライトアップイベントを開催しています。天守閣や周辺がライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な美しさを楽しむことができます。このイベントは岡山後楽園の「幻想庭園」と連携して行われ、旭川沿いの散策路も行灯や提灯で彩られます。夏には夜間特別開館も実施され、夕涼みを兼ねた城見学が人気です。また、備前焼工房での土ひねり体験や、季節ごとの特別展示なども開催され、何度訪れても新しい発見があります。
9. アクセスと周辺の文化施設
岡山城へのアクセスは非常に便利で、JR岡山駅から路面電車で約5分「城下」下車徒歩10分、または岡山駅から市内バスで「県庁前」下車徒歩10分です。車の場合は山陽自動車道岡山ICから約20分で、烏城公園駐車場を利用できます。周辺には岡山後楽園、林原美術館、岡山県立博物館などの文化施設が集まる「岡山カルチャーゾーン」があり、一日かけて文化・歴史を堪能できます。岡山駅周辺のイオンモール岡山や表町商店街でのショッピングや、岡山グルメも楽しめる立地です。
10. 現代に受け継がれる岡山城の価値
岡山城は戦災により天守を失いながらも、市民の熱意により復元され、現在も岡山市のシンボルとして愛され続けています。日本100名城(70番)に選定され、歴史的価値が高く評価されています。令和の大改修により最新の技術を導入し、伝統と革新が融合した新しい城郭博物館として生まれ変わりました。御城印も人気で、基本版から限定版まで多種類が販売されています。岡山後楽園との共通券もあり、効率的に観光を楽しめます。今後も岡山の歴史と文化を伝える拠点として、また観光の核として、多くの人々に愛され続けることでしょう。