94.大分府内城
日本100名城基本情報
住所 | 大分県大分市荷揚町4 |
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電話 | 097-537-5639(大分市文化財課) |
築城年 | 1597年(慶長2年) |
営業情報
開館時間 | 24時間開放(廊下橋見学は8時~18時頃) |
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入場料 | 無料 |
休館日 | なし |
1. 築城の歴史と城主について
大分府内城は、慶長2年(1597年)に石田三成の妹婿である福原直高によって築城が始められた平城です。福原直高は12万石で府内に入封し、豊後国の拠点として府内の荷落に築城を開始しました。しかし福原氏は改易となり、早川長政の府内領再封を経て、関ヶ原の戦い後に3万5千石で入封した竹中重利が城の建設を完成させました。竹中重利は慶長7年(1602年)に本丸・二ノ丸・三ノ丸を完成させ、現在見られる城の基本的な構造を築き上げました。
2. 城の構造と特徴
大分府内城は大分市街の中心に位置する梯郭式平城で、海城としての特徴も併せ持っています。城の北側が海であり、海域的要素を取り入れた珍しい構造となっています。安土桃山時代後期から徳川氏政権初期にかけて九州地方に入部した大名は海城を居城としていることが多く、その一例として貴重な存在です。竹中重利が建てた四層の層塔型天守は、寛保3年(1743年)の大火により他の建造物と共に焼失し、現在は天守台のみが残っています。
3. 江戸時代の府内藩
江戸時代には府内藩2万1000石の藩庁が置かれ、歴代城主として竹中氏、日根野氏、大給松平家が続きました。特に最後の府内藩主である大給松平家の統治は長期間続き、城下町府内の発展に大きく貢献しました。城は政治・経済の中心として機能し、豊後国における重要な拠点としての役割を果たし続けました。明治維新後は大分県庁として利用され、行政の中心地としての機能を継続しました。
4. 現存する遺構と見どころ
現在の大分府内城跡には、内堀と複数の櫓が残され、往時の面影を偲ぶことができます。特に注目すべきは宗門櫓で、これは「しゅうもんちょう」と呼ばれる戸籍簿を保管していたことから宗門櫓と呼ばれるようになりました。人質櫓は二ノ丸にある櫓で、文久元年(1861)に再建されたもので、他の再建櫓に比べて年季が入った趣があります。廊下橋は西之丸と北之丸を結ぶ渡り廊下で、床を外して敵の侵入を防ぐという珍しい防御機構を持っています。
5. 白雉城の由来と別名
大分府内城は「白雉城(はくちじょう)」という美しい別名で知られています。これは、かつて府内城が大分川と住吉川に挟まれ、白土の塀と海辺に面していた姿から、水上に浮かぶ城として「白雉城」と呼ばれたことに由来します。この風情ある別名は現在の御城印のデザインにも反映されており、白い雉がモチーフとして使用されています。その他にも大分城、荷揚城という別名もあり、それぞれ異なる由来を持っています。
6. 日本100名城としての価値
大分府内城は平成18年(2006年)に日本100名城の94番に選定され、その歴史的価値が認められました。100名城スタンプは大手門に設置されており、24時間365日いつでも無料で押印することができます。これは全国でも珍しい24時間対応のスタンプ設置で、多くの城郭愛好家に喜ばれています。JR大分駅から徒歩約20分というアクセスの良さも相まって、多くの観光客が訪れる人気の城跡となっています。
7. 御城印と地域文化
大分府内城の御城印は2023年10月1日から販売が開始され、地域の文化と歴史を表現した特別なデザインが話題となっています。デザインは大分市で活躍する画家の北村直登さんの描き下ろしで、白雉城の由来となった白い雉が美しく描かれています。書は大分高等学校書道コースの学生による大胆かつ繊細な筆づかいで、背景には最後の府内藩主である大給松平家の家紋があしらわれています。この御城印は地域の教育機関と連携した珍しい取り組みとして注目されています。
8. 現在の大分城址公園
現在の大分府内城跡は「大分城址公園」として整備され、市民の憩いの場として親しまれています。公園内には大分市文化会館などの施設もあり、文化的な拠点としても機能しています。西之丸周辺にはさらなる整備計画もあり、今後も城跡の保存と活用が進められる予定です。戦後に史跡として指定され、地域の歴史的シンボルとしての価値が認められています。
9. アクセスと観光情報
大分府内城へのアクセスは非常に便利で、JR大分駅から徒歩約20分、または大分市役所前バス停からすぐの立地にあります。城跡内の見学は24時間自由にでき、廊下橋の見学は8時から18時頃まで可能です。御城印はセブンイレブン大分荷揚町店(24時間営業)と大分市観光案内所(JR大分駅構内、8時30分〜19時)で購入できます。専用駐車場はありませんが、周辺に有料駐車場が複数あります。
10. 今後の展望と保存活動
大分府内城跡では、歴史的価値の保存と現代的な活用を両立させる取り組みが続けられています。西之丸周辺の整備計画により、さらなる魅力向上が期待されており、観光資源としての価値も高まっています。御城印の販売を通じて、大分府内城をはじめとする市内の歴史文化遺産への関心を高め、地域の観光振興にも貢献しています。南蛮文化発祥都市おおいたのシンボルとして、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。
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大分市観光案内所(JR大分駅構内)
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