98.今帰仁城
日本100名城基本情報
住所 | 沖縄県国頭郡今帰仁村字今泊5101 |
---|---|
電話 | 0980-56-4400 |
築城年 | 13世紀後半 |
営業情報
開館時間 | 8:00~18:00(5~8月は19:00まで) |
---|---|
入場料 | 大人1,000円、中高生500円、小学生以下無料 |
休館日 | 年中無休 |
1. 築城の歴史と北山王について
今帰仁城は、13世紀後半に築城された沖縄本島北部の石灰岩丘陵上に位置する歴史的なグスク(城)です。琉球王国成立以前に存在した三山時代(14世紀~15世紀前半)における北山王の居城として機能しました。現地の伝説によれば、今帰仁世の主が築いたと伝わりますが、発掘調査によって実際の城郭跡は12~13世紀頃の築城であることが判明しています。14世紀中頃には主郭が石垣で普請され、15世紀前半には城域が拡張され、主郭を含めて石垣で囲まれた大隅・志慶真門郭など10の郭からなる現在の姿が完成しました。北山王は沖縄本島北部から奄美地方までを支配し、中国や東南アジアとの海外貿易で繁栄を築きました。
2. 城の構造と特徴
今帰仁城は、標高90~100mの丘上に築かれた琉球最大級のグスクで、城の東側は70~80mの渓谷になっています。古生期石灰岩を積み上げて造られた城壁は、高さ3~8m、長さ1.5kmにも達する壮大なスケールを誇ります。城壁の最大の特徴は、本土の城とは異なる優美な曲線美で、「大曲り」と呼ばれる城壁の連なりは圧巻の景観を見せています。城内は10の郭から構成され、石畳道が城門から大庭まで続いています。使用されている石材は海中にあった古期石灰岩で、硬く割れにくい性質を持っており、アンモナイトの化石を見ることができます。この城壁の築造技術は本土の城よりも100年以上早く、琉球独自の高度な築城技術を示しています。
3. 三山統一と北山王統の滅亡
1416年(応永23年)、今帰仁城は琉球史上最も重要な戦いの舞台となりました。後に琉球全土の統一を果たした中山王尚巴志の攻撃を受け、当初は堅固な城壁に守られて抵抗しましたが、最終的に調略によって城は陥落し、北山王統は途絶えました。この戦いで活躍したのが護佐丸で、尚巴志の北山討伐軍に加わり先頭に立って戦い、多大な功績を上げました。北山王攀安知(はんあんち)の滅亡により、琉球は尚氏によって統一され、琉球王国が成立しました。しかし、統一後も今帰仁城は北山統治の要所として重要視され、琉球王府から監守が派遣されて引き続き使用されました。
4. 薩摩侵攻と廃城
1609年(慶長14年)、薩摩藩による琉球侵攻の際、今帰仁城はその攻撃の第一目標となりました。薩摩軍の猛攻により城は炎上し、ついに廃城となりました。しかし廃城後も、城の遺構は御嶽(聖域)・拝所として機能し続け、琉球・沖縄の人々の信仰の対象として大切に保存されてきました。最後の監守が1665年に引き上げた後も、祭りを執り行う場所として残され、現在でも地域の人々によって神聖な場所として守られています。この精神的・宗教的な価値が、今帰仁城が現在まで良好な状態で保存されてきた重要な要因となっています。
5. 発掘調査と出土品
今帰仁城内からは、中国や東南アジアなどの陶磁器が多数出土し、往時の繁栄と国際的な交流の様子をうかがわせています。特に14~15世紀の中国製磁器、ベトナム産陶器、タイ産陶器などが発見されており、北山王が東アジア海域の国際貿易ネットワークの重要な拠点であったことを物語っています。今帰仁村歴史文化センターでは、これらの貴重な出土品を展示しており、琉球王国以前の沖縄の歴史と文化を学ぶことができます。発掘調査は現在も継続的に行われており、新たな発見が今帰仁城の歴史解明に貢献しています。
6. 世界遺産登録と日本100名城
2000年(平成12年)11月、今帰仁城跡は首里城跡、座喜味城跡、勝連城跡、中城城跡、園比屋武御嶽石門、玉陵、識名園、斎場御嶽とともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。さらに2006年(平成18年)4月6日には日本100名城の98番に選定され、その歴史的・文化的価値が国内外で認められています。100名城スタンプは今帰仁村グスク交流センターで押すことができ、年中無休でいつでも押印可能です。世界遺産と日本100名城の両方に選ばれていることは、今帰仁城の類まれな価値を示しています。
7. 御城印と登城記念
今帰仁城では2種類の御城印が販売されており、一つは今帰仁グスクのシンボル「大隅の城壁」、もうひとつは正門「平郎門」が描かれています。御城印は今帰仁村グスク交流センターのチケット売り場で1枚500円で購入できます。沖縄の世界遺産であるグスク(首里城、中城城跡、勝連城跡、座喜味城跡)すべてで御城印が販売されており、沖縄のグスクめぐりコンプリートを目指すファンも多くいます。また、今帰仁城跡では城カードも販売されており、現金のみでの取り扱いとなっています。これらの記念品は登城の思い出として多くの観光客に愛用されています。
8. 今帰仁グスク桜まつりと四季の魅力
今帰仁城の大きな魅力の一つが、毎年1月末から2月初めにかけて開催される「今帰仁グスク桜まつり」です。城門から城の中心部へと向かう階段の左右にはカンヒザクラの並木があり、本土より一足早い桜の開花で多くの観光客を魅了します。本部町の八重岳などと並び、沖縄屈指の桜の名所として知られています。桜のトンネルと古い石垣、そして美しい海のコントラストは絶景で、フォトコンテストも開催されています。また、城内には志慶真乙樽歌碑や山北今帰仁城監守来歴碑記などの碑もあり、歴史と自然が調和した美しい空間を作り出しています。
9. 最新技術による歴史体験
今帰仁村歴史文化センターでは、MR(複合現実)を用いた体験型コンテンツ「THE BATTLE OF NAKIJIN」が導入されています。参加者は北山王攀安知となり、ヘッドマウントディスプレイを装着してコントローラーを刀に見立て、迫りくる中山軍と戦うというリアルな歴史体験ができます。1回約10分間のコンテンツで、料金は1人500円、14歳以上対象で事前予約制となっています。このような最新技術を活用した取り組みにより、今帰仁城の歴史をより身近に、楽しく学ぶことができ、新しい形の文化財活用として注目されています。
10. アクセスと観光情報
今帰仁城跡は沖縄本島北部の本部半島北東部に位置し、那覇市から北へ約85kmの距離にあります。車でのアクセスは那覇空港から約2時間45分、沖縄自動車道許田ICから約1時間です。公共交通機関では、やんばる急行バスを利用し「今帰仁城跡入口」バス停下車徒歩15分でアクセス可能です。第1~第4駐車場まで合わせて約320台収容可能で、駐車料金は無料です。美ら海水族館から車で約10分、古宇利島から約20分と、沖縄北部観光の拠点としても最適な立地にあります。城跡内の見学は約30分、今帰仁村歴史文化センターは約15分が目安となっています。令和7年9月1日より入城料金が改定され、大人1,000円、中高生500円、小学生以下無料となる予定です。
アクセスマップ
関連リンク
散歩記録

御城印情報

スタンプ情報
