99.中城城
日本100名城基本情報
住所 | 沖縄県中頭郡中城村泊1258 |
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電話 | 098-935-5719 |
築城年 | 14世紀後半 |
営業情報
開館時間 | 8:30~17:30(6月~9月は8:30~18:30) |
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入場料 | 大人500円、中高校生300円、小学生200円 |
休館日 | 年中無休 |
1. 中城城の概要と基本情報
中城城(なかぐすくじょう)は沖縄県中頭郡中城村にある14世紀後半に築城された連郭式山城です。標高約160メートルの石灰岩丘陵上に築かれ、6つの郭で構成されています。2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録され、2006年に日本100名城(99番)に選定されました。沖縄県内に約300あるグスクの中でも特に遺構がよく残っており、その美しい曲線の城壁は琉球の築城技術の高さを物語っています。
2. 築城の歴史と城主の変遷
中城城の創始は14世紀後半頃、先中城按司(さちなかぐすくあじ)によって数世代にわたり築城されました。1440年に読谷の座喜味城から護佐丸盛春が移り住み、三の郭と北の郭を増築して現在の形が完成しました。しかし1458年、勝連城主阿麻和利の陰謀により護佐丸は謀反の疑いをかけられ、官軍に攻められて自害しました。その後、琉球王位継承者の領地となり、1729年には一の郭に番所が置かれ地方行政の中心として機能しました。
3. 独特な6つの郭構造
中城城は南の郭、西の郭、一の郭、二の郭、三の郭、北の郭の6つの郭からなる連郭式山城です。最も高い位置にある一の郭は面積も最も広く、正殿が建てられていました。二の郭は石垣の上を歩くことができる数少ない郭で、そこからの眺望は絶景です。三の郭は護佐丸が増築した部分で、あいかた積みという高度な石積み技法が用いられています。北の郭には大井戸があり、水の確保も万全でした。
4. 3種類の石積み技法の見どころ
中城城では時代によって異なる3種類の石積み技法を見ることができます。最初期の南の郭には自然石をそのまま積む「野面積み」、一の郭と二の郭には四角く加工した石を積む「布積み」、護佐丸が増築した三の郭と北の郭には多角形に加工した石を組み合わせる「あいかた積み(亀甲乱れ積み)」が使われています。これらの石積み技法の変化は、琉球の築城技術の発展過程を物語る貴重な遺構です。
5. アーチ門と石垣の美しさ
中城城の最大の見どころの一つが美しいアーチ門です。正門、裏門、三の郭の門など、精巧に作られたアーチ形の門は琉球石灰岩の切石で築かれています。また、城壁は美しい曲線を描いており、自然の岩盤と地形を巧みに利用した設計となっています。石垣の上に立つと西に東シナ海、東に中城湾(太平洋)、さらには洋上の島々まで見渡すことができる絶景が広がります。
6. 世界遺産としての価値と評価
中城城は2000年11月に首里城跡などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコ世界遺産に登録されました。沖縄戦の戦禍をほとんど受けなかったため、築城時からの遺構を良好に保っており、琉球王国時代の築城技術を現在に伝える貴重な文化遺産です。1853年にペリー艦隊の島内調査隊が訪問し、中城城の高度な石垣技術を称賛したという記録も残されています。
7. 井戸と水の確保システム
中城城は城内に3つの井戸を持つ堅固な城でした。北の郭にある大井戸(ウフガー)と西の郭にある夫婦井戸(ミートゥガー)により、長期戦にも対応できる水の確保システムが整っていました。特に大井戸は森の奥へ通じる石段の先にあり、自然の地形を活かした巧妙な設計となっています。高低差を利用した水の流れを意識した築城により、優れた排水システムも構築されていました。
8. 刻印石の発見と最新の研究
近年の発掘調査により、中城城では数多くの刻印石が発見されています。これらの刻印は○、△、十字などの記号が石に刻まれたもので、首里城や浦添城でも発見されていますが、中城城における発見数は圧倒的に多くなっています。刻印の意味についてはまだ解明されていませんが、築城に関わった職人や工事区分を示すものと考えられており、今後の研究の進展が期待されています。
9. 護佐丸の築城技術と城の完成
護佐丸は築城の名手として知られ、中城城では当時の最高レベルの石積み技術を用いて三の郭と北の郭を増築しました。特にあいかた積みという複雑な石積み技法は、石を多角形に加工して組み合わせる高度な技術で、時間と手間を惜しまず築かれた傑作です。護佐丸の築城技術により、中城城は琉球王国屈指の堅固な城となり、その美しさは現在でも多くの人々を魅了し続けています。
10. 現在の見学と保存への取り組み
中城城跡は現在、国の史跡に指定され、継続的な保存修復事業が実施されています。年次計画に従って城壁の修復や発掘調査が行われ、新しい発見が相次いでいます。見学では、ボランティア文化財ガイドによる無料案内(要予約)も利用でき、より深く城の歴史や見どころを知ることができます。日本100名城スタンプは管理事務所で押印でき、御城印も300円で販売されています。沖縄が誇る世界遺産の名城として、今後も適切な保存と活用が期待されています。
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