50.彦根城
日本100名城基本情報
住所 | 〒522-0061 滋賀県彦根市金亀町1-1 |
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電話 | 0749-22-2742 |
築城年 | 1604年(慶長9年) |
営業情報
開館時間 | 8:30~17:00(入場は16:30まで) |
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入場料 | 年中無休(開国記念館は12月25日~31日休館) |
休館日 | ●彦根城&玄宮園入場券: 大人600円、小中学生200円 ●彦根城(玄宮園含む)と博物館セット券: 大人1200円、小中学生350円 ●玄宮園単独券: 大人200円、小中学生100円 |
1. 彦根城の歴史と概要
彦根城は慶長9年(1604)に井伊直継・直孝によって約20年の歳月をかけて建設され、元和8年(1622)に完成した近世城郭です。関ヶ原の戦いで徳川方の武将として活躍した井伊直政を祖とする井伊家35万石の居城として、佐和山城・安土城・長浜城・大津城の石垣や用材を転用して築城されました。江戸時代を通じて井伊家の本拠地として機能し、幕末には大老井伊直弼を輩出した名門の城として知られています。
2. 国宝天守の建築的価値
彦根城天守は全国に現存する12の天守の一つで、昭和27年に国宝に指定されています。3層3階の比較的小規模な天守ですが、破風や出窓、唐破風など意匠を凝らした美しい外観を持ち、内部には急勾配62度の階段が設けられています。天守台の石垣は野面積みと打込みハギを使い分けており、江戸初期の築城技術の粋を結集した傑作として評価されています。最上階からは琵琶湖を一望でき、「琵琶湖八景」の一つ「月明 彦根の古城」としても親しまれています。
3. 重要文化財の櫓群
彦根城には天守以外にも多くの重要文化財建造物が現存しています。佐和口多聞櫓は長浜城から移築されたと伝わり、天秤櫓は橋状の特殊な形態を持つ珍しい櫓です。太鼓門櫓は城内への時報を担当し、西の丸三重櫓は三層の立派な建造物として威容を誇ります。また、全国の近世城郭で唯一現存する大規模な馬屋も重要文化財に指定されており、城郭建築の完成度の高さを物語っています。
4. 石垣と縄張りの特徴
彦根城は標高約136メートルの彦根山(金亀山)を利用した連郭式平山城で、本丸・二の丸・西の丸・山崎丸・太鼓丸などの曲輪が巧妙に配置されています。石垣は近江穴太衆の技術による野面積み・打込みハギ・算木積みが使い分けられ、桝形構造を多用した防御的な縄張りが特徴です。三重の堀と人工河川(現・芹川)に囲まれた大城郭で、中堀より内側の範囲が特別史跡に指定されています。
5. 玄宮楽々園の庭園美
彦根城の北東に位置する玄宮楽々園は、4代藩主井伊直興によって造営された池泉回遊式の大名庭園です。近江八景を模して造られたと伝わり、池泉に浮かぶ鳳翔台からは彦根城天守を美しく望むことができます。四季折々の風情を楽しめる名勝として、昭和26年に国の名勝に指定されています。江戸時代には藩主の下屋敷として使用され、現在は彦根城とセットで見学できる人気スポットとなっています。
6. ひこにゃんと現代の彦根城
平成18年に彦根城築城400年祭のマスコットキャラクターとして誕生した「ひこにゃん」は、全国的な人気を博し彦根城の象徴的存在となっています。井伊家の赤備えと彦根城にまつわる伝説を基にデザインされたひこにゃんは、毎日城内でパフォーマンスを行い、多くの観光客を魅了しています。現在も天守前や博物館前で1日3回登場し、彦根城観光の楽しみの一つとなっています。
7. 彦根城博物館の収蔵品
彦根城表御殿跡に建てられた彦根城博物館では、井伊家伝来の貴重な文化財を展示しています。甲冑・刀剣類をはじめ、能面・能装束、茶道具、調度品、古文書など3万5千点に及ぶコレクションは、大名文化の粋を伝える第一級の史料群です。特に「井伊の赤備え」で知られる朱塗りの甲冑や、直弼ゆかりの茶道具類は見どころとなっています。表御殿の「奥向き」を復元した展示室では、江戸時代の大名生活を体感できます。
8. 世界遺産への取り組み
彦根城は現在、世界遺産登録を目指しており、「日本の世界遺産暫定一覧表」に記載されています。国宝天守と重要文化財建造物群、特別史跡指定の城跡、名勝庭園が一体となって保存されている点が高く評価され、江戸時代の政治体制を表す代表例として位置づけられています。城郭の保存状態は全国でも最良とされ、築城当時の姿を良好に残す貴重な文化遺産として、世界的な価値が認められています。
9. アクセスと見学のポイント
彦根城はJR彦根駅から徒歩約15分の好立地にあり、表門から天守まで約10分、天守見学に約15~20分の所要時間です。城内には坂や石段が多く、特に天守内部の階段は62度の急勾配のため、歩きやすい靴での見学がおすすめです。開国記念館では日本100名城スタンプが押印でき、御城印も購入可能です。駐車場は複数あり、観光には1日1000円の駐車料金が必要です。
10. 周辺観光と魅力
彦根城周辺には夢京橋キャッスルロードや四番町スクエアなど、城下町の風情を再現した観光エリアが整備されています。近江牛グルメや彦根ちゃんぽん、地酒など地元の名産品も楽しめます。琵琶湖クルーズの拠点である彦根港も近く、竹生島への観光船も運航しています。春には桜、秋には紅葉の名所としても知られ、四季を通じて美しい景観を楽しむことができる、滋賀県を代表する観光地です。