85.福岡城
日本100名城基本情報
住所 | 福岡県福岡市中央区城内 |
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電話 | 092-732-4801 |
築城年 | 1601年(慶長6年) |
営業情報
開館時間 | 9:00-17:00(福岡城むかし探訪館) |
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入場料 | 無料 |
休館日 | 12月29日~1月3日(福岡城むかし探訪館) |
1. 福岡城の歴史と黒田家
福岡城は、関ヶ原の戦いで戦功を挙げた黒田長政が慶長6年(1601年)から7年がかりで築城した平山城です。築城地は古代の大宰府鴻臚館があった福崎の丘陵地で、黒田家ゆかりの備前国福岡(現・岡山県瀬戸内市)の地名にちなみ「福岡」と改名されました。これが現在の福岡市名の由来です。野口佐助一成を普請奉行とし、朝鮮出兵で見た晋州城を模範として築城。明治時代まで黒田氏12代270年余にわたる居城として九州の政治・文化の中心となりました。
2. 九州最大級の城郭構造
福岡城は47基の櫓が立ち並ぶ九州最大級の巨城で、本丸・二の丸・三の丸を高石垣で囲んだ梯郭式の縄張りでした。外堀の幅は50mを超え、高さ7m以上の土塁に囲まれ、腰巻石垣(堀石垣)で強化されていました。虎口を巧妙に配置し、曲輪ごとの防御を高めた堅固な構造です。城内には大・中・小の天守台があり、特に大天守台の存在から天守の有無について現在も議論が続いています。石垣や縄張りがほぼ当時のまま残されているため、国史跡に指定されています。
3. 謎に包まれた天守の存在
福岡城最大の謎は天守の存在です。立派な天守台が現存するものの、天守が実際に建てられたかは定かではありません。天守が築かれなかったという説と、江戸幕府への配慮から早期に取り壊されたという説があります。2024年春には「幻の天守閣」をイメージした仮設構造物をライトアップするイベントが実施され、市民の関心を集めました。天守台からは福岡市街を360度見渡す絶景が楽しめ、現在は展望台として多くの人に愛されています。
4. 現存する建造物と重要文化財
福岡城の現存建造物で最も貴重なのは、南二の丸にある多聞櫓(国指定重要文化財)です。江戸時代末期に改修されたもので、47基あった櫓の中で唯一現在位置を保っています。他に復元された下之橋御門、(伝)潮見櫓、移築された旧母里太兵衛邸長屋門、名島門などがあります。祈念櫓は本丸東北隅の鬼門封じとして1860年に建てられましたが、現在は石垣修復のため解体保管されています。これらの建造物は福岡城の往時の威容を物語る貴重な遺構です。
5. 鴻臚館跡との複合史跡
福岡城の特徴の一つは、古代の外交施設「鴻臚館」跡と複合している点です。鴻臚館は平安時代に平安京・難波・筑紫に設置された外交施設で、唐や新羅の使節を迎える迎賓館でした。城内には鴻臚館跡展示館があり、発掘された礎石や出土品を見ることができます。古代から近世まで、この地が九州の政治・外交の要衝であったことを示す貴重な複合史跡として、歴史の重層性を感じることができます。
6. 日本100名城スタンプと御城印
福岡城は日本100名城の第85番に選定され、スタンプは福岡城むかし探訪館・鴻臚館跡展示館・三の丸スクエアの3か所に設置されています。御城印は福岡市公式版が2020年から販売開始され、黒田長政愛用の「黒漆塗桃形大水牛脇立兜」と長政の直筆花押をデザインした300円の登城記念品です。黒田家の家紋「藤巴紋」も配され、福岡城の歴史を物語る貴重なアイテムとして城郭ファンに人気です。福岡城むかし探訪館と三の丸スクエア内舞遊の館で購入できます。
7. 舞鶴公園として親しまれる城跡
現在の福岡城跡は舞鶴公園として整備され、市民の憩いの場として親しまれています。春には約1000本の桜が咲き誇る九州屈指の花見スポットで、毎年「福岡城さくらまつり」が開催されます。公園内には平和台陸上競技場や球技場もあり、スポーツと歴史が共存する都市公園です。隣接する大濠公園と合わせて、福岡市中心部の緑豊かなオアシスとなっており、歴史散策からレクリエーションまで幅広い楽しみ方ができます。
8. アクセス方法と周辺施設
福岡城へは福岡市営地下鉄「赤坂駅」または「大濠公園駅」から徒歩約5分でアクセス可能です。西鉄バス「大手門」「平和台」バス停からもすぐです。城内には福岡城むかし探訪館があり、古地図や再現模型で福岡城の歴史を学べます。三の丸スクエアでは展示やお土産販売も行われています。駐車場も複数完備され、車でのアクセスも便利です。近隣には大濠公園、福岡市美術館、護国神社などがあり、一日中楽しめるエリアです。
9. 福岡城の築城技術と石垣
福岡城の石垣は野面積み、打込接ぎ、切込接ぎなど様々な技法が見られ、築城技術の変遷を学ぶことができます。特に堀石垣(腰巻石垣)は高い技術力を示しており、野口佐助一成の石垣技術が随所に活かされています。天守台の巨大な石垣は圧巻で、当時の土木技術の粋を集めた傑作です。地下鉄建設時に発見された外堀の石垣は保存展示され、城の規模の大きさを物語っています。これらの石垣群は福岡城の最大の見どころの一つです。
10. 見学のポイントと楽しみ方
福岡城見学は下之橋御門から入城し、多聞櫓、天守台の順で回るのがおすすめです。天守台からの360度パノラマは必見で、博多湾から福岡市街、背振山系まで一望できます。鴻臚館跡展示館では古代の外交史を学び、福岡城むかし探訪館では復元CGや模型で往時を偲びましょう。桜の季節(3月下旬~4月上旬)は特に美しく、ライトアップも実施されます。ボランティアガイドによる無料案内も利用でき、より深く福岡城の魅力を知ることができます。所要時間は1-2時間程度です。
アクセスマップ
関連リンク
散歩記録

御城印情報

三の丸スクエア内舞遊の館
スタンプ情報

鴻臚館跡展示館
三の丸スクエア