92.熊本城
日本100名城基本情報
住所 | 〒860-0002 熊本県熊本市中央区本丸1-1 |
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電話 | 096-352-5900 |
築城年 | 1607年(慶長12年) |
営業情報
開館時間 | 3月~11月:8:30~18:00(入園は17:30まで) 12月~2月:8:30~17:00(入園は16:30まで) |
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入場料 | 大人800円、高校生800円、小・中学生300円 |
休館日 | 12月29日~31日 |
1. 熊本城の歴史と概要
熊本城は熊本県熊本市中央区本丸にある城で、別名を銀杏城と呼びます。加藤清正が慶長6年(1601年)から7年の歳月をかけて築城し、慶長12年(1607年)に完成した天下の名城です。日本三名城の一つに数えられ、国の特別史跡に指定されています。城域は98ha、周囲5.3kmにも及ぶ広大な規模で、当時は大小天守閣をはじめ、櫓49、櫓門18、その他の城門29を数え、実戦を想定した巨大要塞でした。
2. 築城の名手・加藤清正と築城計画
加藤清正は1591年(天正19年)から築城を計画し、茶臼山と呼ばれた丘陵地帯にあった千葉城や隈本城を縄張りに取り込みました。清正の実戦体験から生み出された複雑で堅固な構造が特徴で、丘陵一帯を取り巻く川の流れを変えて内堀とし、巧みに重ねられた曲輪それぞれが一つの城として機能する設計でした。当時の最先端技術と労力を投じた名城として、400年にわたり日本の様々な歴史の重要な舞台となってきました。
3. 武者返しの石垣と独特の築城技術
熊本城の最大の特徴は「武者返し」と呼ばれる独特の石垣です。下部はゆるやかな傾斜で、上部に向かうほど急な角度になる造りで、城に侵入しようとした敵の武者を返してしまうことからこの異名がつきました。数層の石垣をめぐらし、自然の地形を利用した独特の築城技術が生かされています。本丸には五階櫓が5基も存在し、他の城では天守に匹敵するほどの規模を誇り、各曲輪は多門櫓や門、土塀で囲まれて鉄壁の防御を誇りました。
4. 加藤家から細川家への藩主交代
加藤清正の死後、息子の忠広が跡を継ぎましたが、1632年(寛永9年)に加藤氏は改易となり、細川忠利が熊本藩主として入城しました。以後、細川家11代が居城として明治維新まで続きました。細川氏時代には宮本武蔵も客分として熊本城下に住み、「五輪書」を執筆するなど、多くの歴史的人物が関わった文化的な舞台でもありました。細川家は240年にわたって熊本を治め、藩政の安定と文化の発展に大きく貢献しました。
5. 西南戦争と熊本城の試練
1877年(明治10年)の西南戦争では、熊本城は薩摩の大軍を迎えて50余日の籠城に耐え、難攻不落の名城の真価を発揮しました。しかし、薩軍総攻撃の3日前、原因不明の出火により天守閣をはじめ本丸御殿一帯が焼失し、宇土櫓をはじめ11棟を残して主要な建物を失いました。この戦いで熊本城の堅固さが実証された一方で、貴重な江戸時代の建造物の多くが失われる結果となりました。現存する宇土櫓などは当時の建築技術の粋を今に伝える貴重な文化財です。
6. 昭和の天守再建と市民の思い
第二次世界大戦後、市民をはじめとする天守再建の気運が高まり、昭和35年(1960年)に大小天守が鉄骨鉄筋コンクリートで外観復元されました。この再建事業は市民の浄財を基に行われ、熊本市民の心の拠り所としての熊本城への深い愛着を示すものでした。復元された天守閣は内部が博物館として整備され、熊本の歴史や文化を学ぶ施設として活用されてきました。また春には桜の名所としても親しまれ、山桜、肥後桜、ソメイヨシノなど約800本の桜が咲き誇ります。
7. 平成28年熊本地震と甚大な被害
2016年(平成28年)4月14日に発生した熊本地震では、震度7を記録し、熊本城は石垣の崩落や建築物の倒壊など甚大な被害を受けました。天守閣の瓦が大量に落下し、重要文化財の宇土櫓も損傷、多くの石垣が崩落するなど、城全体に深刻なダメージを受けました。この災害により熊本城は長期間の復旧工事が必要となり、完全復旧には20年程度を要すると見込まれています。しかし、この困難を乗り越える熊本城の姿は、多くの人々に希望と勇気を与え続けています。
8. 復旧工事と特別公開の開始
熊本地震後の復旧工事が続く中、2019年10月から熊本城特別公開がスタートし、被害状況や復旧工事の様子を間近で見学できるようになりました。特別見学通路が整備され、復旧工程中の今だからこそ見ることができる熊本城の姿を体感できます。天守閣は2021年4月に全面リニューアルし、築城から西南戦争での焼失、昭和の再建、地震被災から復旧までの歴史を模型・映像で分かりやすく解説する展示になりました。最上階からの眺めも復活し、熊本市街を一望できます。
9. 日本100名城スタンプと御城印
熊本城は日本100名城の92番に選定されており、スタンプは城彩苑の観光案内所や各券売所(頬当御門、櫨方門、須戸口門、不開門)で押すことができます。宇土櫓越しの大小天守がスタンプの絵柄となっています。御城印は2種類あり、「二の丸通常版」が二の丸お休み処で、「本丸通常版」が本丸お休み処で300円で販売されています。デザインには築城した加藤家の「蛇の目紋」と加藤家の後に熊本藩を治めた細川家の「九曜紋」が朱色で押印され、加藤清正公の座右の銘「履道応乾」も含まれています。収益の一部は熊本城災害復旧支援金に寄付されています。
10. アクセスと見学のポイント
熊本城へのアクセスは、熊本市電「熊本城・市役所前」停留所から徒歩約10分、JR熊本駅からは車で約15分です。駐車場は二の丸駐車場などが利用できます。見学のポイントは、特別見学通路から復旧工事の様子を間近で観察し、天守閣で熊本城の歴史を学び、最上階から熊本市街の景色を楽しむこと。現存する宇土櫓(国指定重要文化財)や「二様の石垣」など、江戸時代から残る貴重な遺構も必見です。熊本城ミュージアムわくわく座での体感型展示や、隣接する桜の馬場城彩苑での熊本グルメも合わせて楽しめます。復旧完了まで長期間を要しますが、復旧過程を見学できる貴重な機会として、多くの観光客が訪れています。
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