162.出石城・有子山城
散歩記録
訪問時に撮影した写真をご覧いただけます
📷 散歩記録準備中
1. 出石城・有子山城の概要と歴史的背景
出石城・有子山城は兵庫県豊岡市出石町に位置する続日本100名城162番です。この史跡は平山城の出石城と山城の有子山城という、性格の異なる二つの城郭で構成される複合的な遺跡として知られています。
歴史は有子山城から始まります。天正2年(1574年)、但馬守護山名祐豊が標高321mの有子山山頂に築城しました。これは、それまでの本拠地だった此隅山城が永禄12年(1569年)に織田信長配下の羽柴秀吉に攻略されたためです。城名も「子盗」を連想させる「此隅」から縁起の良い「有子」へと改名されました。しかし天正8年(1580年)、再び秀吉の攻撃を受けて落城し、戦国大名としての山名氏は滅亡しました。
その後、慶長9年(1604年)に小出吉英が有子山城の山上部分を廃城とし、山麓の居館部分を改修して出石城として幕府に届け出ました。一国一城令により但馬国唯一の城郭となり、出石藩の藩庁として明治まで続く重要な政治拠点となりました。
2. 城郭構造と築城技術
出石城は山麓に築かれた平山城で、典型的な近世城郭の構造を持っています。堀で囲まれた三の丸から本丸まで階段状に配置され、野面積みの石垣が当時のまま良好に残存しています。現在見られる東西の隅櫓は1968年に復元され、登城門・登城橋は1994年に復元されたもので、城郭の威容を今に伝えています。
一方、有子山城は標高321mの急峻な山頂に築かれた本格的な山城です。主郭を中心に三方向に延びる尾根に、放射状に曲輪・竪堀・堀切を配した堅固な防御構造が特徴的です。特に注目すべきは大規模に残存する野面積みの石垣群で、その築造については興味深い説があります。
石垣については、築城の名手として知られる藤堂高虎が羽柴秀長から出石(有子山)の築城を命じられたという記録が残っています。これが事実であれば、高虎初の石垣城郭として学術的に大変貴重な遺構ということになります。現在も荒々しくも美しい石垣群が山城の威容を物語っています。
3. 文化的価値と史跡指定
この城郭群の文化的価値は非常に高く評価されています。2017年には続日本100名城162番に選定され、有子山城は1996年に此隅山城跡とともに「山名氏城跡」として国指定史跡に登録されました。「優れた文化財・史跡であること」「著名な歴史の舞台であること」「時代・地域の代表であること」が認められた結果です。
出石城跡は豊岡市指定史跡として保護されています。城下町は「但馬の小京都」として親しまれ、碁盤目状の美しい町割りが現在も保持されており、豊岡市出石伝統的建造物群保存地区として国選定重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
特に象徴的なのが、大手門跡に建つ辰鼓楼です。1871年に建造されたこの建物は、現存する明治初期の時計台として札幌時計台とともに日本最古級とされ、出石城下町のシンボル的存在となっています。江戸時代から続く出石そば文化とともに、地域の歴史的アイデンティティを形成する重要な文化遺産として保存活用されています。
4. 登城体験と見どころ
出石城は気軽に散策できる平山城として多くの観光客に親しまれています。復元された登城橋・登城門から本丸まで石段で結ばれた登城路を辿ることができ、本丸跡には仙石秀久を祀る感応殿があります。稲荷曲輪には37基の朱塗り鳥居が連なる稲荷参道があり、美しい景観を作り出しています。
有子山城への登城は本格的な山歩きとなります。出石城稲荷参道脇の登山口から約40分の急峻な登山道を登る必要がありますが、その価値は十分にあります。主郭からは出石の城下町を遥か彼方まで見渡せる絶景パノラマが楽しめ、織豊期の石垣群や大堀切など見応えある遺構群を体感できます。体力に自信のない方は、鰺山峠からの迂回路(約1時間30分)を選ぶこともできます。
両城とも、スタンプはいずし観光センター(出石観光案内所)に設置されています。御城印も各300円で販売されており、此隅山城の限定3000枚の御城印(500円)も含めて城郭愛好家に人気を集めています。
5. 現代の出石城・有子山城と観光価値
現在の出石城・有子山城は「但馬の小京都」出石の中核的観光資源として、多くの人々に愛されています。城郭と歴史的町並み、グルメ文化が一体となった魅力的な観光地として発展しています。
特に有名なのが出石そばです。江戸時代に藩主が信州から職人を連れてきたことがルーツとされ、「三たて」(挽きたて・打ちたて・茹でたて)の伝統製法で提供される皿そばとして全国的に知られています。多くの蕎麦店が城下町に軒を連ね、観光客の楽しみの一つとなっています。
2024年には有子山城築城450周年・出石城築城420周年という記念すべき年を迎えました。これを機に記念の限定御城印や記念グッズが販売されるなど、歴史的節目を活かした観光振興が図られています。また、近年は有子山城跡からの雲海や星空観察など自然景観を活かした新たな魅力発信も行われており、歴史文化と自然美、食文化が調和した但馬地域を代表する観光拠点として、多くの来訪者に感動的な体験を提供し続けています。
📍 アクセスマップ
🎫 御城印情報

🏯 スタンプ情報
