96.飫肥城

96.飫肥城

日本100名城

基本情報

住所 宮崎県日南市飫肥10丁目1
電話 0987-67-6029(飫肥城下町保存会)
築城年 南北朝時代(土持氏)

営業情報

開館時間 9:00~17:00
入場料 大人610円、高大460円、小中360円(共通券)
休館日 12月29日~12月31日

1. 築城の歴史と城主について

飫肥城は、南北朝時代に日向国北部を中心に勢力を有した土持氏によって築城されたと伝えられますが、詳細な築城時期や築城者については明らかになっていません。室町時代末期の長禄2年(1458年)、九州制覇を狙う薩摩国の島津氏が、日向の中・北部で勢力を蓄えてきた伊東氏の南下に備えて、島津氏の一族で志布志城主だった新納忠続を飫肥城に入城させました。これが伊東氏と島津氏による103年間の激しい領有権争いの始まりとなりました。天正16年(1588年)、豊臣秀吉の九州征伐で功績を上げた伊東祐兵が飫肥城主に返り咲き、以降明治4年の廃藩まで伊東家14代280年間この地を治めました。

2. 城の構造と特徴

飫肥城は、標高約51mのシラス台地の上に築かれた平山城で、東西約750m、南北約500mの城域に大小13の曲輪が林立した南九州特有の「群郭式」縄張を持っています。三方を酒谷川が取り囲むという自然の要害を巧みに利用し、複数の曲輪で構成された難攻不落の城として知られていました。別名「舞鶴城」とも呼ばれ、江戸時代に3度もの大地震により大被害を受けた後、城の南側を近世城郭に改修したため、群郭式と近世城郭の2つの様式を併せ持つ珍しい構造となりました。垂直方向に切ると安定するシラス台地の特性を生かして城壁とし、堀や曲輪、石垣を設けた独特の防御システムを構築していました。

3. 伊東氏と島津氏の攻防

飫肥城をめぐる伊東氏と島津氏の争いは、日本の城郭史上でも類を見ないほど長期間にわたる103年間の激闘でした。この争いは「飫肥の戦い」と呼ばれ、両氏の勢力拡大をかけた重要な戦略拠点として飫肥城の価値が認識されていたことを示しています。1572年(元亀3年)以降、伊東氏は一時勢力を失い、飫肥城は島津氏の支配下に入りましたが、1587年(天正15年)の豊臣秀吉による九州征伐において、伊東祐兵が先陣の指揮を執ったことでその功を認められ、飫肥城主に復帰することができました。この長期間の攻防戦は、城の堅固さと戦略的価値の高さを証明する歴史的事例として注目されています。

4. 江戸時代の飫肥藩

天正16年(1588年)に伊東祐兵が初代藩主となって以降、飫肥藩は5万1千石の外様大名として栄えました。伊東家は藤原氏南家の子孫で、鎌倉時代に曽我兄弟の仇討ちで有名な工藤祐経を祖とする約800年続いた由緒ある家柄です。飫肥藩の領土は現在の日南市、北郷町、南郷町、宮崎市の南部、清武町、田野町に及び、良材として知られた飫肥杉の積み出しや酒谷川を利用した河川舟運により経済的に繁栄しました。藩校「振徳堂」を設立して教育に力を入れ、多くの人材を輩出したことでも知られています。

5. 現存する遺構と復元建造物

現在の飫肥城跡には、1978年(昭和53年)に復元された大手門と1979年(昭和54年)に復元された松尾の丸があります。大手門は樹齢約100年の飫肥杉を使用し、釘を一切使わない「組式」、平瓦と丸瓦を交互に組み合わせて並べる「本瓦葺き」などの技法が用いられた木造渡櫓の2階建てで、高さ約12m、幅約7mの立派な構造となっています。本丸跡には日南市立飫肥小学校(藩校振徳堂が前身)が建てられており、旧本丸は樹齢140年の飫肥杉が立ち並ぶ幻想的な空間「いやしの森」として親しまれています。一面の苔の絨毯が美しく、静寂に包まれた神秘的な雰囲気を醸し出しています。

6. 日本100名城としての価値

飫肥城は平成18年(2006年)に日本100名城の96番に選定され、その歴史的・文化的価値が全国的に認められました。100名城スタンプは飫肥城歴史資料館で押すことができ、2022年3月にリニューアルオープンした館内では、祐兵公や山田匡得の甲冑や刀剣など戦国時代の貴重な資料220点が展示されています。また、プロジェクションマッピング映像やCGを使用して飫肥の町並みや歴史をわかりやすく紹介しており、現代的な展示手法で城の魅力を伝えています。南九州特有の群郭式城郭の代表例として、城郭史研究においても重要な位置を占めています。

7. 御城印と登城記念

飫肥城では2021年から御城印の販売が開始され、伊東家の家紋「庵木瓜」と飫肥藩の旗印「九曜紋」が配された2種類の御城印が300円で販売されています。一つは飫肥の象徴である「おびむらさき」の紫をアレンジしたもので、もう一つは赤色のデザインとなっています。販売場所は飫肥城観光駐車場チケット販売所で、通信販売にも対応しています。金や銀が散らしてある高級和紙を使用した特別版も発行されており、コレクターに人気があります。御城印の売上の一部は城跡や城下町の保存活動に活用されています。

8. 重要伝統的建造物群保存地区

飫肥城下町は、昭和52年(1977年)に九州地区で最初に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。武家屋敷を象徴する門構えや風情ある石垣が残る町並みは「九州の小京都」と呼ばれ、江戸時代の面影を色濃く残しています。商人町通りには樽を店頭に置いた商家や、格子に壁燈籠、番傘を飾った商家が軒を連ね、町を流れる堀割の清流とともに美しい景観を形成しています。飫肥石や飫肥杉を使った建造物は地域の特色を表現し、歴史的価値の高い町並み保存の成功例として全国から注目されています。

9. 飫肥グルメと観光体験

飫肥城下町では「あゆみちゃんマップ」という観光マップが人気で、700円または1200円の2種類があり、地元の美味しい食べ物や手作り商品を5個まで引き換えできる商品引換券と各施設の入館券がセットになっています。口の中でふわっと溶ける「飫肥せんべい」、黒砂糖の優しい甘さが特徴の「おび天」、プリンのような味わいの厚焼卵など、飫肥ならではの名物を味わいながら城下町散策を楽しめます。また、四半的射場では飫肥藩に伝わる半弓「四半的」の体験ができ、女性でも気軽に楽しめる人気アトラクションとなっています。

10. アクセスと今後の展望

飫肥城へのアクセスは、JR日南線「飫肥駅」から徒歩15分、または宮崎交通バス「飫肥城下」から徒歩約6分です。車の場合は宮崎自動車道田野ICから約50分で、飫肥城観光駐車場(140台・無料)が利用できます。由緒施設の共通券は大人610円で、豫章館、松尾の丸、歴史資料館、小村寿太郎記念館、商家資料館、旧山本猪平家の6施設を見学できます。現在は高速道路延長記念として一部期間無料公開も実施されており、より多くの観光客に飫肥の魅力を知ってもらう取り組みが続けられています。歴史と文化が息づく飫肥城下町の保存と活用は、地域活性化のモデルケースとして今後も注目され続けることでしょう。

アクセスマップ

散歩記録

散歩記録準備中

御城印情報

御城印画像
価格: 300円
販売場所: 飫肥城観光駐車場チケット販売所

スタンプ情報

スタンプ画像
設置場所: 飫肥城歴史資料館
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