71.福山城
日本100名城基本情報
住所 | 広島県福山市丸之内1-8 |
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電話 | 084-922-2117(福山城博物館) |
築城年 | 1622年 |
営業情報
開館時間 | 9:00~17:00(最終入館16:30) |
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入場料 | 大人500円(一般)、400円(割引対象者)、高校生以下無料 |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末(12月28日~12月31日) |
1. 福山城の歴史と築城の経緯
福山城は元和5年(1619年)、徳川家康の従兄弟である水野勝成が備後10万石の領主として築城した城です。関ヶ原の戦い後、安芸・備後2国を治めていた福島正則が武家諸法度違反により改易されたことを受け、勝成が西国の有力外様大名への抑え(西国の鎮衛)として配置されました。勝成は大和国郡山藩から転封し、当初は神辺城を居城としていましたが、より戦略的な立地を求めて新城の築城を決断。元和8年(1622年)8月28日に完成を幕府に報告し、この日が築城記念日とされています。福山城は一国一城令発布後の大規模新規築城として最後の例となりました。
2. 江戸時代最後の大規模新築城の特徴
福山城は慶長期から続く近世城郭の体系に含まれる大規模新規築城では最後の城として、築城技術の粋を集めた設計となっています。平山城の形式で、東・南・西は二重の堀で囲み、北は吉津川を天然の堀として活用しました。城郭の縄張りは勝成自身が設計したとされ、石垣の石材は瀬戸内海の北木島や白石島から大量に運搬しました。当時の石高10万石に比して破格の規模を誇り、西国大名監視という重要な役割にふさわしい威容を備えていました。天守は5層5階の望楼型で、織田信長の安土城を模したとも伝えられています。
3. 歴代城主と福山藩の発展
福山城は水野氏(5代)、松平氏(1代)、阿部氏(10代)の三家が歴代城主を務めました。初代水野勝成は「鬼日向」と呼ばれた勇猛な武将で、城下町の基盤整備を行い、瀬戸内海から運河を城まで引いて大船団を係留させました。イグサ栽培を奨励し「備後表」として全国に知られる畳表の産地を築きました。元禄11年(1698年)に水野家が無嗣除封となった後、短期間の松平氏を経て、宝永7年(1710年)から阿部氏が幕末まで続きました。特に阿部正弘は幕末の老中として日米和親条約締結など開国の立役者となり、福山藩の名を全国に知らしめました。
4. 戦災による被害と戦後復元
昭和20年(1945年)8月8日の福山大空襲により、天守閣や石山門など多くの建物が焼失しました。戦前に国宝に指定されていた天守も失われ、福山城の威容は大きく損なわれました。しかし、伏見城から移築されたとされる伏見櫓と筋鉄御門は奇跡的に戦火を逃れ、現在も国の重要文化財として現存しています。昭和41年(1966年)に天守閣が鉄筋コンクリート造で外観復元され、同時に御湯殿や月見櫓も復元されました。復元天守は福山城博物館として活用され、福山藩の歴史や文化を伝える拠点となっています。
5. 令和の大普請と築城400年記念事業
2020年から2022年にかけて、築城400年を記念した大規模改修工事「令和の大普請」が実施されました。この工事では耐震補強とともに、全国で唯一となる天守北側壁面の鉄板張りが復元されました。鉄板張りは福山城天守の大きな特徴で、北側からの攻撃に備えた防御設備でした。2022年8月28日にリニューアルオープンし、福山城築城400年応援サポーターの落語家春風亭昇太氏や声優福山潤氏がナレーションを務める映像コンテンツなど、最新のデジタル技術を駆使した展示に生まれ変わりました。一番槍レース体験や火縄銃体験などの体験型コンテンツも充実しています。
6. 新幹線のホームから見える全国唯一の城
福山城の大きな特徴の一つは、JR福山駅の新幹線ホームから間近に見ることができることです。これは全国の城郭で唯一の特徴で、1975年の山陽新幹線全通時に福山駅が新幹線と在来線の二重構造高架となったことで実現しました。新幹線の乗客が車窓から福山城を眺めることができ、「新幹線から見える城」として全国的に有名になりました。駅から徒歩5分という抜群のアクセスの良さも相まって、多くの観光客が気軽に訪れることができる城となっています。この立地の良さは水野勝成が交通の要衝として福山の地を選んだ先見性を現代に体現していると言えるでしょう。
7. 現存建築と復元建築の見どころ
福山城には戦災を免れた貴重な現存建築があります。伏見櫓は伏見城から移築されたと伝えられる三重櫓で、国の重要文化財に指定されています。筋鉄御門も同様に伏見城からの移築建築で、城の正門として重要な役割を果たしていました。これらの建築は桃山時代の建築様式を今に伝える貴重な遺構です。一方、復元された天守閣、御湯殿、月見櫓も見どころの一つです。特に御湯殿は福山城の南からの景観を特徴づける藩主専用の風呂場で、大名の生活文化を物語る興味深い建物です。月見櫓は現在貸会場として活用され、結婚式なども行われています。
8. 福山城博物館の展示内容と魅力
令和の大普請により大規模リニューアルされた福山城博物館は、福山城と福山藩の歴史に特化した展示内容となっています。各階ごとにテーマが設定され、1階では福山城の築城背景と城郭の特徴、2階では水野勝成と水野家、3階では阿部正弘と阿部家、4階では企画展示、5階では福山城の全体像と360度の展望を楽しむことができます。大型3面シアターでは福山城の歴史を迫力ある映像で体感でき、一番槍レース体験や火縄銃の重さ体験など、子どもから大人まで楽しめる体験型コンテンツが充実しています。最上階からは福山市街地を360度見渡すことができ、瀬戸内海まで望める絶景スポットとなっています。
9. 御城印と日本100名城スタンプ
福山城では多種類の御城印が販売されており、基本版は200円とリーズナブルな価格設定となっています。基本版の御城印には水野氏の家紋「丸に抱き沢瀉」と阿部氏の家紋「丸に違い虫食い鷹の羽」があしらわれ、左下に福山城天守のスタンプが押印されています。築城400年記念版や限定版など様々なバリエーションがあり、コレクターにも人気です。日本100名城スタンプは福山城博物館天守閣内に設置されており、入館すれば自由に押印できます。博物館に入館しなくても御城印は購入可能で、受付で申し出れば対応してもらえます。
10. アクセスと周辺観光の魅力
福山城は交通アクセスが非常に良く、JR福山駅北口から徒歩5分という立地にあります。新幹線利用者にとっては特に便利で、広島や岡山からの日帰り観光も十分可能です。車の場合は山陽自動車道福山東ICから約20分で、福山城博物館駐車場や周辺の有料駐車場を利用できます。周辺には福山美術館、ふくやま文学館などの文化施設が集まる文化ゾーンがあり、1日かけて文化・歴史を堪能できます。また、瀬戸内海の鞆の浦や尾道といった観光地にも近く、福山城を起点とした広域観光も楽しめます。福山の名物グルメや備後地域の特産品も豊富で、城見学と合わせて地域の魅力を満喫できます。
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