33.高岡城
日本100名城基本情報
住所 | 富山県高岡市古城1-1 |
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電話 | 0766-20-1563(高岡市立博物館) |
築城年 | 1609年(慶長14年) |
営業情報
開館時間 | 9:00~17:00(高岡市立博物館) |
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入場料 | 無料 |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始 |
1. 歴史と築城の経緯
高岡城は慶長14年(1609年)、加賀前田家2代当主・前田利長によって築かれた隠居城である。利長は慶長10年(1605年)に金沢城から富山城に隠居していたが、慶長14年3月の大火により富山城が焼失したため、幕府の許可を得て関野と呼ばれた地に新たな隠居城を築城した。城の縄張は築城の名手として知られるキリシタン大名・高山右近が担当したと伝承されている。
2. 特色ある縄張と構造
高岡城は総面積約21万7,000㎡の広大な敷地を誇る平城で、そのうち約3分の1にあたる約8万1,000㎡が人工の水堀で占められている。本丸、二の丸、三の丸などの連続する馬出が築城当時のまま残されており、特に水堀はほぼ完全な形で保存されている。この保存率は日本一といえる規模で、近世城郭の研究において極めて貴重な遺構とされている。
3. 短い歴史と廃城
前田利長は「詩経」の一節からこの地を「高岡」と名付け、同年9月に高岡城に入城した。しかし利長の在城期間はわずか5年で、慶長19年(1614年)に利長が死去すると、翌元和元年(1615年)の一国一城令により廃城となった。後を継いだ3代利常は利長の意を汲み、城郭の基本構造を保存し、城下町を商工業の町へと転換を図った。
4. 現在の姿
現在、高岡城跡は高岡古城公園として整備され、市民の憩いの場となっている。明治8年(1875年)に「高岡公園」として指定され、城郭遺構の破壊を免れた歴史を持つ。公園内には射水神社、高岡市立博物館、高岡古城公園動物園、高岡市民会館などの施設があり、春には18種約1,800本の桜が咲き誇る桜の名所としても知られている。
5. 文化財指定と価値
高岡城跡は昭和40年(1965年)に県史跡、平成18年(2006年)に日本100名城に富山県内から唯一選定され、平成27年(2015年)3月10日に国史跡に指定された。近世の政治・軍事状況や築城技術を知る上で貴重であると評価され、加賀前田家2代当主前田利長に関連する「近世高岡の文化遺産群」を代表する重要な遺跡の一つである。
6. 主要な見どころ
高岡城の最大の見どころは築城当時から変わらない広大な水堀である。二の丸と本丸を結ぶ土橋には築城当時の石垣が残され、本丸跡には前田利長の銅像が建っている。三の丸跡にある「民部の井戸」は当時の生活用井戸として保存され、屋形を建てて保護されている。また、周囲を巡る水堀は朝暘橋などの赤い橋で結ばれ、美しい景観を作り出している。
7. アクセスと観光情報
高岡城へは、あいの風とやま鉄道・JR城端線・JR氷見線の高岡駅から徒歩約15分でアクセスできる。能越自動車道高岡ICから車で約20分の立地で、駐車場も完備されている。公園内は散策路が整備されており、四季を通じて自然の美しさを楽しむことができる。桜の時期には「高岡桜まつり」が開催され、多くの観光客で賑わう。
8. 日本100名城スタンプと御城印
日本100名城スタンプは高岡市立博物館に設置されており、開館時間中は館内入口に、閉館後は屋外に移動されるため、いつでも押印可能である。博物館は入館無料で、高岡城に関する展示を見学できる。御城印は三の丸茶屋で販売されており、前田家の家紋が配された2種類があり、単品300円、2種セット500円で購入できる。
9. 周辺の見どころ
高岡城周辺には多くの観光スポットがある。城跡から約1kmの場所には日本三大大仏の一つである高岡大仏があり、山町筋には土蔵造りの歴史的な商家街並みが重要伝統的建造物群保存地区として保存されている。また、国宝瑞龍寺や加賀藩主前田家墓所など、前田家ゆかりの文化遺産も点在している。
10. 地域文化との関わり
高岡城は地域の文化的アイデンティティの核となる存在である。工芸都市高岡の歴史的基盤を築いた前田利長の遺産として、現在も市民に愛され続けている。平成27年(2015年)には「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心-」の構成文化財として日本遺産に認定され、高岡の歴史と文化を象徴する重要な文化遺産となっている。