16.箕輪城
日本100名城基本情報
住所 | 群馬県高崎市箕郷町東明屋582-6(史跡箕輪城跡駐車場) |
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電話 | 027-371-5111(高崎市箕郷支所) |
築城年 | 1512年(永正9年) |
営業情報
開館時間 | 散策自由(24時間) |
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入場料 | 無料 |
休館日 | なし |
1. 歴史と概要
箕輪城は群馬県高崎市箕郷町に位置する平山城で、1512年(永正9年)に長野業尚によって築城されました。武田信玄の侵攻を何度も退けた難攻不落の名城として知られ、特に長野業正の時代には「上州の大鷹」と称された名将の居城として威容を誇りました。城は榛名山の南麓、榛名白川によって削られた河岸段丘上に築かれ、東西約500m、南北約1,100m、面積約47ヘクタールという関東屈指の広大な城郭でした。1987年(昭和62年)に国の史跡に指定され、2006年(平成18年)に日本100名城の16番に選定されています。
2. 長野氏の築城と発展
箕輪城の築城は、戦国時代の関東における勢力均衡の中で重要な意味を持ちました。長野氏は山内上杉氏の重臣として西上野の支配を任され、箕輪城を拠点として周辺に支城網を構築しました。特に2代目の長野業正は卓越した軍事的才能を発揮し、武田信玄の西上野侵攻に対して頑強に抵抗しました。業正は「剣聖」上泉信綱や「長野十六槍」と呼ばれる精鋭武士団を従え、鷹留城、国峰城、和田城など302を数える支城網を統率していました。
3. 武田信玄との攻防
箕輪城は武田信玄の侵攻に対する最前線の要塞として機能しました。長野業正の存命中、武田軍は何度も箕輪城攻略を試みましたが、すべて撃退されました。信玄自身も業正を「自分の上野侵攻を阻む最大の障害」と認め、その死を「我が弓矢の道にとって大きな損失」と評したと伝えられています。1566年(永禄9年)、業正の子長野業盛の時代に武田軍の総攻撃により箕輪城は遂に陥落し、長野氏は滅亡しました。この戦いは戦国史上でも激戦として知られ、多くの武士が討死しました。
4. 城主の変遷と井伊直政
武田氏による占領後、箕輪城は甘利昌忠、真田幸隆、内藤昌豊らが城代を務めました。武田氏滅亡後は織田信長の家臣滝川一益、その後は後北条氏の支配下に入りました。1590年(天正18年)の小田原征伐後、徳川家康の関東入封に伴い、箕輪城は12万石をもって井伊直政に与えられました。直政は徳川四天王の筆頭として著名で、箕輪城を近世城郭に大改修しました。石垣の導入、大手門の移設、城下町の整備など大規模な改修を実施しましたが、1598年(慶長3年)に高崎城に移転し、箕輪城は廃城となりました。
5. 現存する遺構と特徴
現在の箕輪城跡には、主に井伊直政時代の遺構が残されています。最も印象的なのは大堀切と呼ばれる巨大な空堀で、城を南北に分断する防御施設として機能していました。本丸周辺は深さ最大10mの空堀で囲まれ、梯郭式の縄張りによる堅固な防御体系が確認できます。三ノ丸には関東では珍しい石垣が残され、最高部は約4mの高さを誇ります。これらの石垣は当時の最先端技術を用いて構築されており、箕輪城の重要性を物語っています。
6. 復元建築と整備
2016年(平成28年)に郭馬出西虎口門が復元されました。この門は2002年(平成14年)の発掘調査で確認された礎石を基に、伝統的工法で忠実に復元されたものです。幅5.73m、奥行き3.48mの櫓門で、城内最大規模の門と考えられています。屋根は手割りの杉材を使った板葺き、壁は竹を格子状に組んだ木舞に荒壁を塗った当時の技法で施工されています。この復元により、来訪者は戦国時代の城門の姿を実際に体感することができます。
7. 発掘調査と研究成果
箕輪城では継続的な発掘調査により、多くの重要な発見がなされています。本丸北側の御前曲輪では古井戸が発見され、城内の生活環境を知る手がかりとなっています。また、石垣の構築技術や排水システム、掘立柱建物の配置など、戦国時代から近世初期にかけての築城技術の変遷を具体的に確認することができます。これらの調査成果により、箕輪城の歴史的価値と学術的重要性がより明確になっています。
8. 箕輪城まつりと地域文化
毎年10月下旬に開催される箕輪城まつりは、地域最大のイベントです。長野軍と武田軍に分かれた武者行列が繰り広げられ、手作りながら本格的な甲冑を身に着けた市民が戦国時代の合戦を再現します。この祭りは1915年(大正4年)に地元の繊維業者の有志によって復活したもので、現在では多くの観光客が訪れる秋の風物詩となっています。また、城下町の面影を残す町並みでは、各地区の由来を示す案内板が設置され、歴史散策を楽しむことができます。
9. 周辺の見どころ
箕輪城周辺には多くの関連史跡があります。榛名神社は榛名山中の古社で、奇岩と渓谷美で知られるパワースポットです。群馬県立歴史博物館では群馬の古代から近世までの歴史を学ぶことができ、箕輪城に関する展示も充実しています。また、箕郷梅林は関東三大梅林の一つで、春には10万本の梅が咲き誇る絶景スポットです。地域グルメとしては群馬名物のみそパンや焼きまんじゅうなども楽しめます。
10. アクセス・見学情報
箕輪城へのアクセスはJR高崎駅が起点となります。群馬バス「箕郷行き」または「伊香保温泉行き」で約30分、「四ツ谷」下車徒歩約5分で到着します。自動車の場合は関越自動車道前橋ICまたは高崎ICから約30分です。城跡には4つの無料駐車場があり、最も便利なのは搦手口の「箕輪城跡駐車場」(78台)です。城跡は24時間散策自由で入場料も無料です。日本100名城スタンプは高崎市箕郷支所、箕郷公民館、箕郷矢原宿カフェで押印できます。見学所要時間は1~2時間程度で、複数の散策コースが整備されています。
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