25.甲府城
日本100名城基本情報
住所 | 山梨県甲府市丸の内1-5-4 |
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電話 | 055-227-6179(舞鶴城公園管理事務所) |
築城年 | 1590年代(天正18年頃) |
営業情報
開館時間 | 散策自由(稲荷櫓:9:00-16:30) |
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入場料 | 無料(城跡公園)、各施設は個別料金 |
休館日 | 無休(城跡公園)、稲荷櫓:月曜日、年末年始 |
1. 甲府城の概要と歴史的意義
甲府城は、山梨県甲府市丸の内にある日本100名城第25番の平山城です。武田氏滅亡後の1590年代に豊臣秀吉の命により築城が開始され、浅野長政・幸長父子によって完成されました。別名「舞鶴城」と呼ばれ、白壁が重なり合う優雅な姿が鶴が羽根を広げた様子に例えられました。豊臣政権下では徳川家康を牽制する要所として、江戸時代には将軍家に最も近い親藩の城として重要な役割を果たしました。
2. 築城の経緯と豊臣政権下での位置づけ
甲府城の築城は、武田氏滅亡後の甲斐国支配体制の確立と密接に関わっています。豊臣秀吉は武田氏館(躑躅ヶ崎館)に代わる新たな統治拠点として、一条小山の地に新城の建設を命じました。当初は豊臣秀勝が甲斐を拝領しましたが、短期間で美濃へ転封となり、加藤光泰、続いて浅野長政・幸長父子が築城を引き継ぎました。豊臣政権下では、関東に配された徳川家康を西側から牽制する軍事的要衝として機能しました。
3. 東日本最大級の石垣技術
甲府城の最大の特徴は、東日本最大級といわれる壮大な石垣群です。築城には「穴太積」と呼ばれる西国系の高度な石垣積み技術が導入されました。この技術は織田信長が安土城で本格採用し、豊臣秀吉に引き継がれたもので、それまで東国には存在しなかった画期的な築城技術でした。特に天守台の石垣は南北22m、東西16mの巨大な規模を誇り、江戸城・名古屋城・会津若松城に次ぐ大きさとされています。
4. 江戸時代の甲府藩と将軍家
関ヶ原の戦い後、甲府城は徳川政権下で特別な地位を占めました。徳川家康の九男義直、十男頼宣、十一男頼房など将軍家の子弟が相次いで城主となり、江戸の西の守りとしての役割を担いました。特に5代将軍徳川綱吉の側近として権勢を振るった柳沢吉保が1704年に入封すると、城郭の大規模な拡張・修築が行われ、城下町も整備されました。柳沢家は約20年間甲府を治め、甲府城と甲府の発展に大きく寄与しました。
5. 城郭構造と防御システム
甲府城は内堀・二の堀・三の堀で各領域が構成された輪郭式の平山城です。内城部分には天守台や本丸、諸曲輪が存在し、北側に山手門、南側に追手門、西側に柳門が配置されました。二の堀は武家地の内郭部分を囲み、甲府勤番役宅や勤番士の屋敷、年貢米を集積する米蔵などが置かれました。三の堀は町人地で、北側の古府中と南東の新府中で構成され、商業と手工業の中心地として機能しました。
6. 甲府勤番制度と幕府直轄統治
1724年に柳沢吉里が大和郡山へ転封されると、甲府は再び幕府直轄領となり、甲府勤番制度が敷かれました。甲府勤番は老中支配下で定員2名、役高3000石の重要職で、配下に勤番士200名、与力20人、同心50人を付けられました。この制度は旗本・御家人対策の側面もあり、江戸からの左遷先として「山流し」と呼ばれることもありましたが、甲斐国統治の重要な仕組みとして幕末まで続きました。
7. 近代化と城跡の変遷
明治維新後の1873年に廃城処分となった甲府城は、急速な近代化の波に飲まれました。県庁主導の殖産興業政策により多くの建物が破却され、内堀は埋め立てられて官業施設が建設されました。さらに決定的だったのが中央線の開通で、甲府駅が甲府城清水曲輪跡に建設されたため、城跡は南北に分断されました。現在のJR甲府駅は文字通り城の中に建てられた駅として、全国でも珍しい存在となっています。
8. 復元整備と文化財指定
戦後、甲府城跡では本格的な発掘調査と復元整備が進められました。1991年に山手渡櫓門、2004年に稲荷櫓、2013年に鉄門(櫓門)が復元され、往時の威容を取り戻しつつあります。現在は本丸・天守曲輪・稲荷曲輪・鍛冶曲輪の石垣と堀の一部が良好に保存され、国の史跡に指定されています。出土遺物の金箔鯱瓦や飾瓦は県指定文化財となっており、豊臣期から江戸期にかけての甲府城の格式の高さを物語っています。
9. 現在の見どころと観光スポット
現在の甲府城は舞鶴城公園・甲府市歴史公園として整備され、多くの見どころがあります。巨大な天守台からは甲府盆地を360度見渡すことができ、晴天時には富士山や南アルプスの絶景も楽しめます。石垣には「兄弟石」「双子石」と呼ばれる特徴的な石組みも見られます。復元された稲荷櫓では甲府城の歴史に関する展示があり、地下に残る火薬庫跡は全国でも珍しい特別な防湿構造の遺構として注目されています。
10. アクセスと周辺観光
甲府城へのアクセスは非常に良好で、JR甲府駅から徒歩わずか3分という立地にあります。100名城スタンプは甲府城稲荷櫓と舞鶴城公園管理事務所に設置され、御城印は甲府駅南口の甲府市観光案内所で購入できます。周辺には武田氏館跡(躑躅ヶ崎館)、甲斐善光寺、昇仙峡などの観光スポットが充実しており、山梨県の歴史と自然を満喫できる絶好の拠点となっています。
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